ページ内を移動するためのリンクです。
哲学するレストラトゥール

哲学するレストラトゥール 橘真自給自足の有機農業で実践する「贈与への責務と返礼」

著者
橘 真
定価
1,800円+税
販売
全国の主要書店(注文出荷制)、
並びにAmazonなどのオンラインショップで発売
判型
四六判上製
本体ページ数
232ページ
ISBN
978-4-9908801-2-5 C0030
発売日
2017年5月18日
内容紹介

神戸の名ソムリエが淡路島に移住して実践する、有機農業による自給自足。
オルタナティヴな営みを通して導く、ラディカルな手づくりの哲学と思想のカタチ。

かつての神戸を代表する伝説的なフランス料理の名門として一時代を画した[レストラン・ジャン・ムーラン]のソムリエを経て、闊達でフレンドリーな店として人気を博したワインバー「ジャック・メイヨール」の店主であった著者の橘 真さんは、その後、フランス・イタリアのワインや野菜の生産地を視察研修の後、ワインの輸入卸業務店を経て、2009年に淡路島に移住。自らの思考と哲学を実践すべく、有機野菜の栽培、平飼いの養鶏による飼料の自給、罠と銃による狩猟などを行いつつ、淡路島内外のレストランに野菜などの直接販売を手掛けており、将来的には葡萄の自家栽培による有機ワインの醸造を目指しています。

都市的生活から一転、地方の中山間地に移り住み、「有機農業による自給自足」という、等価交換的価値観が蔓延する現代日本におけるオルタナティヴを選択し、自らの農業を「自然からの贈与に対する責務と返礼」と考えるその暮らしのカタチには、これから縮小していくのが既定路線であるこの国で生きるための知恵が隠されているように思います。

農業に興味を持ち地方へと移住する若者が増えつつある今、現代社会の歪み、農業や地方が抱える問題と向き合いながら、農業や私たちの食、共同体、自我、人間存在や、人間が生きていくことの本質を、レヴィ=ストロースや網野善彦、オルテガなどの古今東西の知の巨人の思想も言及しつつ、掘り下げて述懐します。

無償の贈与に対する責務の返礼を負ったレストラトゥール(レストランの職人)としての矜持を胸に、1人の農業家が自らの実践を通して導く、ラディカルな手づくりの哲学と思想がここにあります。

著者紹介
橘 真 橘 真

橘 真(たちばな まこと)

1965年、神戸市生まれ。伝説的な名店としてかつて神戸で一時代を画したフランス料理店[レストラン・ジャン・ムーラン]のソムリエを経て、闊達でフレンドリーな店として著名人のファンも多く人気を博した「ジャック・メイヨール」の店主に。1999年にシニアソムリエ認定。仏伊のワインや野菜の生産地を視察研修の後、ワイン輸入卸業務店を経て、2009年に淡路島に移住。「甲南醸造所 倭文土井農園」の名の元、有機野菜の栽培、平飼いの養鶏による飼料の自給、野草の採取、養蜂や椎茸の栽培、罠と銃による狩猟などにより、自給自足の農業を実践。淡路島内外のレストランに野菜、卵、蜂蜜などの直接販売を手掛けている。また、将来的には葡萄の自家栽培による有機ワインの醸造を目指している。自らの思考の趣くままに古今東西の書物を読み漁る読書家であり、文筆家でもある。

内田 樹先生ご推薦

内田 樹先生 ご推薦文より

僕が行きつけのバーというようなものに、お店の人とおしゃべりするためだけに足繁く通ったのは、
後にも先にも、橘さんのお店だけである。それくらいに橘さんの話は面白かった。
橘さんはいったいどんな文章を書くのだろうとわくわくして頁をめくった。
そして何頁か読んでうれしくなった。橘さんの文体はバーのカウンター越しにおしゃべりしていたときの口調と同じなのである。
その文体は、その語り口と同じように、自由である。
そのときに頭に浮かんだアイディアのしっぽをどこまでも追いかける。
捕虫網を持った少年が真っ黒な足を激しく動かしながら、
田んぼの中を突っ切り、小川を飛び越え、森の中を走り回っているのと同じである。
ここに記されているのは、その「足跡」である。

内田 樹(思想家・武道家・凱風館 館主)

目次より

淡路島で実践する自給自足の有機農業/「レストラトゥール」って何だ?/
まったく非文脈的に、個人的に召喚された「あの日」/農業に関心のある若い世代の人たちが増えているのはなぜか?/
都市生活者の地方への移住/有機野菜をめぐる「陳列棚からはみ出している」ものについて/
境界線とこちら側 農業で「自給自足」する/鶏を飼う/変わりゆくレストランのカタチ/
現代の狩猟をめぐる試論/料理人」は「世界」を秩序づける/「自然の贈与」に対する「責務」/
給仕人とは、生と死の結界を出入りするシャーマンである/淡路の玉葱とおじいちゃんの「時間」/
暮らしの中で失われていく「匂いに対する感受性」/墓と死者/
これからの未来を担う若者たちへ贈られる「魔法のシチュー」/軽トラのフロントガラス越しに眺める、次世代の風景

  • 「橘さんのこと~捕虫網を持った少年が走り回る足跡のように」内田 樹先生による解説文